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命みじかし 手抜きのオノマ 蒔いた種から 花開く (安倍晋三さん的我田引水)@橋本忍

オノマお気に入りブログのひとつ・「山田唯史の遊覧画廊」で「脚本家・橋本忍氏哀悼」という記事があったのでコメントしたところ、それに対する返事があり、それが素晴らしかった。手抜きオノマと対極にある真心のこもったものである。映画評論家も脱帽かという内容である

 

オノマの皮相なコメントをあざやかに一本背負いで投げ飛ばした箇所があり、感心し嬉しくなった

 

オノマがひとりで感心しているのはもったいないので以下に全文を掲載してほんじつのブログとする 

 

脚本家・橋本忍氏哀悼」

脚本家として数多くの名作映画を遺された橋本忍氏が昨日19日に亡くなられたという。享年100。

 私の最も好きな映画作品の多くが、橋本氏の脚本であることに今更ながら驚く。ためしにウィキペディアに当たってみると、脚本作品としてリストアップされている全74作品のうち28作品を私はほぼ公開当時に映画館のスクリーンで観ていた。後にヴィデオで観たものを入れると更に増える。

 黒澤明監督とのコンビ、『羅生門』から始まる計8作品は言わずもがな、今井正監督『真昼の暗黒』(1958)、『夜の鼓』(1958)、『仇討』(1964)、野村芳太郎監督『張込み』(1958)、『ゼロの焦点』(1961)、『砂の器』(1974)、堀川弘通監督『白と黒』(1963)、『悪の紋章』(1964)、小林正樹監督『切腹』(1962)、『上意討ち 拝領妻始末』(1967)---等々。

 私は先日の日記でたまたま小林正樹監督『切腹』について触れ、過去には堀川弘通監督『白と黒』にも触れている。『上意討ち 拝領妻始末』『砂の器』に主演した加藤剛氏はつい先日6月18日にお亡くなりになった。また、橋本脚本ではないが、黒澤明監督『天国と地獄』『赤ひげ』に出演された常田富士男氏も一昨日7月18日に亡くなられた。

 長くつづいた黒澤・橋本コンビは1960年の『悪い奴ほどよく眠る』で一旦解消し、ちょうど10年後の『どですかでん』で復帰している。そしてこれが黒澤・橋本コンビの最後の作品となった。その間の事情は私は知らないが、『どですかでん』で復帰というのはおもしろい。というのは、この作品、橋本忍脚本としては少し異色の部類ではあるまいか。
 作品リストから窺えるとおり、橋本氏の本は骨太で硬派の感がある。思想と思想とを対決させることができた、日本映画では貴重な脚本家であられた。

 あらためて橋本忍氏の逝去を哀悼いたします。

「オノマのコメント」

 

28本も映画館のスクリーンでご覧になったとはすごいですね。

偶然にネットで「張込み」をみつけました。ストーリーの本題とあまり関係がない、伏線でもない列車内風景が長々と続きますが時代が分かって面白いです。高峰秀子の映し方も最近の映画にはない良さがあると思いました。

ご覧になっておられるかもしれませんが、念のために貼ります。


 

 

「映画「張り込み」,おのまカナダさんへ」
おのま@カナダさんへ、コメントへの返事に代えて

 野村芳太郎監督作品『張込み』の「貼りこみ」、ありがとうございました。スクリーンで観て以来ですから、懐かしく、一気に観てしまいました。映画的な感興にみちた優れた作品であると、あらためて思いました。少年時代に見えなかったことも、73のこの年齢になって視野がひろがって見られるようになったためでもあります。
 私が13歳のときの映画で、あれから60年が経ちました。ちょうど勉強のために家族から離れて暮らし始めたときでした。家族の元へ帰るときはこの映画の冒頭のような列車旅。それより数年前の3等客室は、戦後の生活がさほど安定しない人々の移動で、まさに映画のとおりのありさまでした。ご存知のように、当時、1等車(機法2等車(供法3等車(掘法△伴崑里暴颪い討△蠅泙靴拭1撚茲砲皹任辰討い泙靴拭
 東京から佐賀までの列車行が長々とつづく冒頭のシークエンスは、現在になってみれば、よくぞ時代を正確に撮ってくれたと思います。今なら新幹線だ飛行機だと、距離がちぢまってしまいました。

 さらに申上げますと、この冒頭の非常に長い列車内のシークエンスは、刑事という昼夜も春夏秋冬も問わないで出動しなければならない過酷な仕事の実体を見せて、いまだ独身の柚木刑事が結婚に踏み切れない、恋人からすれば優柔不断と思える男の、じつは誠実な人間であることのいわば「伏線」となっているのではないでしょうか。

 映画タイトルが出るまでの異常なほどの長い冒頭の列車シーンこそが、この作品のあらゆる基盤(社会状況や、東京と地方との生活差、刑事事件捜査の実体、黙々と任務につく刑事の忍耐強さ、その人間性等々)を映像だけで「説明」しているのであり、この長さが重要だと私は思います。もしこのシークエンスがなければ、---ためしにここを削除してタイトルから観てみてください----意外に「つまらない」映画になってしまいます。

 映画の最終部で、柚木、下岡両刑事と石川が乗車した急行列車が佐賀駅に停車しています。宵闇の構内に、これからの終着東京駅までの停車駅が、順にすべてアナウンスされる声が聞こえています。長い列車の旅が始まるのです。それは柚木刑事が石川に諭して言うセリフにこめられた人生再出発への序章の長旅であり、また、絵は動きませんが冒頭部分の長い列車シーンに逆方向から照応するものでもあります。

 俳優たちに生活感があってすばらしいですね。銭湯の婆さんに扮して北林谷栄さんが出演されているのが、私はなんとなく嬉しかったです。子供たちもいいですね。小津映画の子供たちよりずっといい。しかも下岡の子供も横川の子供も、わずかなセリフとふるまいで両家の生活状況を端的に示す役目をきっちり果たしていますね。橋本忍脚本のみごとさが、こんなところにも見られます。

 佐賀市内のロケもすばらしいですね。ロケセットだけでは醸し出すことが不可能な時代色、ストーリーとしてはじつに地味な刑事物が現実感をもって着地しているのは、ほとんど全編をロケ撮影しているからでしょう。美術の勝利。田園風景や山の中の道、川、橋、柚木刑事が踏み迷う温泉場近くのだだっぴろい山肌の草原、小さな村落のなかにひょっこり存在する寺、等々、ロケハンティングがみごとです。

 そして撮影の工夫がいたるところにみられます。

 たとえば聞き込み捜査から帰って署内に入って行く刑事を背後から撮り、カメラはそのまま建物の外壁をはいのぼり(クレーン撮影)、2階の窓の外から帰ってきた刑事の姿をとらえ、彼らが給湯器から茶を汲むときにカット割りしてカメラは室内に入っています。その流れのスムーズさはとても心地よいです。

 あるいは、柚木刑事(大木実)が、ひとりでタクシーで、横川さえ子(高峰秀子)と石川久一(田村高広)の行方を追跡するシークエンスは、空中撮影。列車や自動車の走りを山あり谷あり、つずら折ありのなかにとらえて、まるでヒッチコックばりで、見事です。四辺一面が田んぼの中の一本道を疾駆するタクシーを、空中から捉えているシーン! ここに土埃が舞えば、まさしくヒッチコック。それをしないのが野村芳太郎監督の見識でしょう。 このあたりはすべて柚木刑事の内心のモノローグで彼の心理と彼が見ている光景描写になっています。そして田舎の実景にかぶさることでサスペンスをつくっています。

 また、さえ子と石川が温泉旅館に身を隠し、風呂上がりの浴衣姿の石川が廊下の欄干に腰掛けて草笛を吹くシーン。このときの曲は、その少し前に山中で2人がほんの一時の幸せにひたっているとき、ハイキングの子供たちが歌っていた『旅愁』。石川の心情を想像させて劇中映画音楽としてはやや付き過ぎの感があり、場面がセンチメンタルに流れますが---(ちなみに、野村芳太郎監督の後年の『鬼畜』では、センチメンタルをかなぐり捨ててみごとです)

 草笛を吹く石川に、斜上方から屋根廂の影を直裁に切ってやわらかい光がそそいでいます。おそらくレフ板でつくった照明でしょうが、これがすばらしい。まもなく光は消えて黒い霧がかかるように石川の姿は沈みます。下岡刑事(宮口精二)が近づき、少し通り過ぎてからくるりと石川に向かう---。

 最後にあえてケチをつけますが、さえ子を追尾していた柚木刑事が祭で賑わう人ごみのなかで見失い、祭行列の見物人を荒々しく掻き分け、あまつさへ行列に入って通りをきょろきょろ探すシーンは、わざとらしい。いかにも映画撮影してますよといわんばかりで、一気にバカバカしさが画面に出てしまいます。佐賀市が協力して祭行列をつくってくれたのでしょうが、したがってリハーサル無しの一発撮りだったのだと思いますが、だからといって行列にとびこんでキョロキョロは噴飯ものです。

 だめですよ野村監督、こんなB級チャンバラ映画にあるような演出は。せっかくの作品も、このシーンは珠に瑕。

 ---語れば長くなってしまいます。私自身の仕事を放り出して楽しみました。ありがとうございました。



「山田唯史の遊覧画廊」 http://plaza.rakuten.co.jp/plexus/

★映画「張り込み」http://www.youtube.com/watch?v=S9zwHD3soGg

 

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