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資料・映画「知事抹殺」・日本のマスコミは馬鹿なのか (知事抹殺 32)

前回の「知事抹殺」:

http://onomar.jugem.jp/?month=201609

 

映画「知事抹殺」の試写会をみたジャーナリスト・田中良紹氏がことの経過を含めた感想文をコンパクトにまとめているので資料として転載する。

 

感想文の中にある「ロッキード事件で特捜部長を務めた川島興氏は「マスコミ性馬鹿説」を唱えていた」に苦笑した。

 

日本のマスコミについてはオノマも眉をひそめることが多く、NHKテレビの画面に向かって「馬鹿なことを云うなよ」と呟く、あるいは罵倒するのはしょっちゅうである。

 

しかし・・

 

馬鹿なことを云うのはその人が馬鹿だからだという理屈がまったく成り立たないとは言わないが、「マスコミ人はそもそもが馬鹿なのだ」という決め付けは間違っていると思う。天下の秀才が集まっているのがマスコミである。

 

秀才諸氏がどうして馬鹿な報道をするのか。

 

それは真相に迫るガッツのある報道を要求する視聴者が少ないからであるとオノマは考える。猫に小判。要求されていないのであるから敢えて質の高い報道をしなくてもいいではないか。海外のメディアと競争する必要のない、気楽な稼業のサラリーマン・マスコミ人が大本営発表に迎合してことたれりとするのはむしろ自然な現象なのだと思う。

 

なにはともあれ、映画「知事抹殺」の上映が近づいていることは喜ばしいことである。

 

映画を見た人の多くは「マスコミ性悪説」や「マスコミ性馬鹿説」に傾くのかもしれないが、じつはご自身たちの真相への欲求度、要求度が低かったと反省されることをオノマは願っている。

 

「知事抹殺」の下手人の大元であると思われる安倍晋三さんや小泉純一郎さん、さらには大本営発表と寝た「クローズアップ現代」の国谷裕子さんも映画を見て欲しい。(見てもわからないだろうから無●●男・石原慎太郎さんは見ないでよろしい)

 

真実から目をそむけたままで進んできたから閉塞感のある日本になっていることを肝に銘じて欲しい。

 

夢も希望もない悲惨な未来に進んでいた日本の方向を正そうとして「抹殺」された佐藤栄佐久さんが「実質無罪」などといういい加減な結審に甘んじることなく、映画という手段によって、再び日本の軌道を正そうとしている姿に心から拍手を送る@カナダ・バンクーバー。

 

資料

http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20161014-00063223/

 

10月12日、プレスセンターでドキュメンタリー映画『「知事抹殺」の真実』の試写会があった。2006年に身に覚えのない収賄罪で逮捕され、高裁で収賄額ゼロと認定されながら、2012年に最高裁が有罪にした不可解な事件の主役、佐藤栄佐久元福島県知事を描く作品である。

 

佐藤氏は県知事時代に原発と地方分権を巡って中央政府と対立した。県内に福島原発を抱える立場から東京電力のプルサーマル計画に「待った」をかけ、また国から自治体への権限移譲を求めて実は霞が関が権限を手放さない仕組みとなる道州制にも反対していた。

 

官僚出身の知事が多い中で異色の存在だった佐藤氏は、霞が関、とりわけ経産省と文科省から「目障りな存在」と思われてきたはずだ。それが突然、身に覚えのない容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 

実弟が経営する会社の土地の売買を巡り、知事の権限を使って賄賂を受け取ったというのである。事件の予兆は逮捕の2年前にあった。朝日新聞社が発行する『アエラ』に土地の売買と県内のダム工事の発注とを結び付け、知事に疑惑があるという記事が掲載された。

 

検察の常とう手段は、まずメディアを利用して逮捕する人間が悪人であることを国民に印象付け、先に世論を形成してから逮捕に踏み切ることである。そうすれば検察は常に「悪を退治する正義の味方」となり、逮捕劇は拍手喝さいで迎えられる。そしてその世論が形成されれば裁判所も「無罪」の判決を下せなくなる。

 

それが私がロッキード事件を取材して以来常に続けられてきた検察のやり方である。リクルート事件でも金丸脱税事件でも先にメディアによる世論形成があり、検察が動くときには国民のほとんどが逮捕される人間を極悪人とみている。

 

だから検察にとってメディアは常に飼いならしの対象だ。言いなりになればエサを与え、言うことを聞かなければ会見に出席することも許さない。私が経験したロッキード事件で特捜部長を務めた川島興氏は「マスコミ性馬鹿説」を唱えていた。マスコミの人間は馬鹿以外の何物でもないというのである。

 

それはそうだろう。検察が作ったストーリーを疑うこともなく信じ込んでそれを国民に広めてくれる。検察にとってこんなありがたい存在はないが、しかし裏を返せばどうしようもない馬鹿だと腹の底では軽蔑している。それを川島氏は正直に吐露していた。

 

だから私はあらゆる事件で検察の発表を鵜呑みにすることはないが、残念ながらその後もメディアはずーっと「性馬鹿」を続けている。佐藤知事の逮捕劇もメディアは検察の言いなりに報道し、その後に小沢一郎氏の秘書が逮捕された「西松建設事件」でも同じだった。

 

佐藤氏は第一次安倍政権が誕生した直後に逮捕された。第一次安倍政権が憲法改正と道州制導入を政権の主要課題としたことで、自分が道州制に反対し続けた知事であったことと逮捕劇とは無縁でないと佐藤氏は感じている。

 

そして検察の取り調べで佐藤氏の実弟は「知事はなんで原発反対なんだ。知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」と言われた。原発に反対し国家に逆らう知事は抹殺の対象になるのがこの国である。その構図は今も続いている。東京電力の原発再稼働方針に抵抗した泉田新潟県知事は今行われている県知事選出馬断念に追い込まれた。

 

検察の取り調べに自殺者まで出て悩んだ末に佐藤氏はウソの自白を決断し、裁判で本当のことを言おうと考える。これもロッキード事件以来ずっと続いている構図である。丸紅ルートも全日空ルートも逮捕された被告たちは裁判で取り調べ時の自供を翻す。しかしそれでもいったんメディアで形成された世論を覆す判決を裁判所は出せない。

 

「事実上の無罪」と読めるような「有罪」の判決文を裁判所は書く。これもお決まりのパターンで、有罪と思い込んでいる世間を納得させ、被告には無罪だと思わせる。嘘の自白で保釈された佐藤氏は三重県の水谷建設の社長が検察に言われた通りに供述し、それが捜査に利用されたことを裁判で知る。そして告発の書『知事抹殺』(平凡社)を書いた。

 

私が『知事抹殺』を読んだのは、09年に民主党への政権交代が実現し、小沢一郎氏を「西松建設事件」でつぶせないと考えた検察が「陸山会事件」を仕立てて小沢氏の元秘書で現職国会議員の石川知裕氏を逮捕した時である。この事件も水谷建設が検察のストーリー通りの役割を果たしていた。

 

検察は裁判所と違い行政府の一員だから官邸には逆らえない。従って総理の意向通りに動く。佐藤栄作政権の時代は佐藤の政敵であった池田勇人派の政治家を検察が次々に摘発し、それが佐藤に長期政権をもたらしたと言われる。

 

ロッキード事件は三木武夫総理の意向で検察が田中逮捕に動いた。事件の本命とみられていた中曽根康弘氏は三木内閣を支える現職幹事長であったために摘発を免れた。自民党から民主党への政権交代が現実的になった時、だから私は検察が小沢民主党代表をターゲットにすると予言した。権力を維持したい自民党政権は必ずそうするはずだと思っていた。

 

不幸なことに予言は当たったが、そこで検察は致命的なミスを犯した。同時並行で民主党副代表の石井一氏を狙った捜査で厚生労働省の村木厚子氏を逮捕したが、村木氏は検察の言う通りにならず、それが証拠改ざんを招いて検察が自滅する羽目になった。

しかしそれでも検察が官邸の意向通りに動く構図は変っていない。第二次安倍内閣で小渕優子氏や甘利明氏など誰が見ても摘発されてしかるべき政治家が摘発を免れている。官邸の意向がそうさせているからである。

 

2006年に第一次安倍政権が誕生した直後に逮捕された佐藤栄佐久氏は、自民党から民主党に政権が交代した直後の高裁判決で「収賄額ゼロ円だが収賄罪で有罪」というまったく理解しがたい判決を受け最高裁に上告した。

 

その2年後に起きた東日本大震災で佐藤栄佐久氏が最も恐れていた原発事故が現実になる。福島は世界に知られるフクシマになった。そして第二次安倍政権が誕生する直前の2012年10月、最高裁は上告を棄却して佐藤氏の有罪は確定した。

 

第二次安倍政権は経産省が背後で支える政権である。だから原発の輸出と再稼働に力を入れる。また日米同盟の軍事協力を最優先にすることから沖縄の辺野古基地建設を急ぎ沖縄県知事と対立する。映画の中で沖縄出身の原子力技術者が中央から見捨てられた地域として福島と沖縄を重ね合わせている言葉が印象に残った。

 

この映画は福島県で佐藤栄佐久氏を熱烈に支えた人たちが企画し金を集めて作った映画である。そのため知事を抹殺した権力機構の真相に鋭く迫るというより、福島県知事としての功績や人柄などを紹介する応援歌の要素もある。しかしこの不可解な事件は過去の出来事ではなく、現在進行中の出来事であることを噛みしめるべきだと思う。一般には11月から公開されていくという。

 

田中良紹

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