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沖縄考 15 語らない


イラン、スリランカ、ビルマ、インドネシア、マレイシア、東ドイツ、カナダ、アメリカ、そして日本・・・・

ビジネスで訪れた諸国の将来がどうなるのかを診たてるために使った方法はいろいろあるが、なかで大事なのは、いきあたりばったり、偶然に出会い、二度と会うことがない人の話を聞くことである。

二度と会わないから建前ではなく本音を語ってくれることがあるのだ。とても参考になる。

有名とか無名、専門家とか素人とかいう区別は要らない。有名人、専門家と称される人たちが通り一遍の思考や狭い考察の中に閉じこもっている例は少なくなく、彼らの話は未来を観る上でかえって邪魔なことがある。


どんな人でも、それぞれが語る話の背景にはその人が住んでいる世界、その人の人生があって、そこからひとつの言葉がつむぎ出されてくる。つむぎだされた言葉に耳をかたむけて、その大本(おおもと)となる世界の病理や未来を判じる。長年やっていればだんだん正しい判断ができるようになる。

言葉がつむぎだされてこない場面がある。そういう場面における相手の沈黙もまた発信のひとつであるから、沈黙が生じた背景を判じることになる。そのとき判じることが出来なくても、時機いたって不透明の世界が晴れてくることがある。

音声となった言葉を聞くことより、音声にならないがその人の胸の内にある言葉、あるいはその人自身さえ意識していない世界を感じ取る方が意義深いのかもしれない。


前置きが長くなった。沖縄の話である。

沖縄でタクシーを二度使った。

〔觸衆貉ころ。北谷(ちゃたん)⇒那覇(なは) 約十五キロ。
昼十一時ころ。海軍壕公園⇒奥武山公園(おうのやまこうえん)駅 約二キロ。


比較的長距離で良い稼ぎとあってか、,留薪昭蠅論鼎な語り口ではあるが能弁だった。そろそろ普天間基地の近くですかねと訊いたら、急に口が重くなった。そして右手をハンドルから離して、踊りか歌の拍子をとるようなしぐさを続けた。

基地反対派なのか賛成派なのか、いずれの立場であれ、見ず知らぬ異邦人と基地の話をしたくないのだろうと察してホテルに着くまで沈黙の時間に浸った。

海軍壕公園でもって嗚咽しそうになったり、ヤマトンチュは卑劣だという思いが浮かんだりしたあとに乗った△離織シーの運転手は無口で、妙なことに,留薪昭蠅隼たしぐさをしていた。

降りるころになってから、沖縄の土木ビジネスは冷え込んでいる、観光は潤っているところとそうでないところの差がある、観光客はレンタカーする人が多いからタクシー業は恵まれないと語ってくれた。

距離が短かかったし、自らに起きた異変もあってか米軍基地の話を訊こうともしなかったのだが、あるいは、訊いても沈黙が返ってくると感じていたのかもしれない。


沖縄で遭遇した沈黙の時間をときどき思い出していたのだが、五月九日に読んだ三人の対話でもってなんとなく納得がいく思いがした。

ウチナンチュの原風景を知らないヤマトンチュに対して語るのはとてもエネルギーが要るのだろう。

対話の骨子を以下に書く。


位里:沖縄は、八月十五日の敗戦前の、三月ごろからもう米軍は上陸している。日本兵の敗残兵に殺されただよ、みんなが。 (おのま注:ウチナンチュが日本兵に殺されたということ)

澤地:赤ん坊が泣いたりしたら、殺さなければいけなかった。

:わたしたちを泊めてくれた読谷(よみたん)村の家の真ん中の部屋に段々があって位牌を飾るところがある。一番上におじいさん、それからおばあさんの位牌がある。

山の下のほうにおじいちゃん、おばあちゃんが隠れていて、若いものは上のほうの小さい洞穴に入っていた。訪ねてきたおじいちゃん、おばあちゃんに食べ物を持たせたら帰るとちゅう、日本軍に食べ物を奪われて、殺されたという。

日本軍に殺されたことを聞き出すのに三日ぐらいかかった。

最後に言うときは、みんなもう目が真っ赤なの、何もいえないけど、涙を我慢しているから、白目なんか血の色になって、ポツッて最後のころに言う。

澤地久枝(さわちひさえ・ノンフィクション作家・1930〜)、
丸木位里(まるきいり・画家・1901〜1995)
丸木俊(まるきとし・画家・1912〜2000)

(「澤地久枝 対話集 語りつぐべきこと ふたつの世紀をつなぐもの」岩波書店)


ここまで書いてきて思った。

五月五日のブログに、突如としてヤマトンチュは卑怯だという思いが心に浮かんだと書いた。http://onomar.jugem.jp/?day=20120505

あれは七十年前に殺されたウチナンチュの思いがそこいらじゅうに残っていて、それがおのまの心のなかに浸み込んできたということなのかもしれない。

ウチナンチュが語らないから分からない鈍感なヤマトンチュ。

語られないウチナンチュの恨み、怒り、悲しみ、諦めの塊に対して、ヤマトンチュは心の耳、目でもって正面から向かいあい、自らにとっては不都合で痛みをもたらすかもしれない起承転結や理路をつけなければいけない。

それができないで平和とか繁栄とかを唱えても、それは砂の城のようにもろいものでしかないのであろう。



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