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アランの話
八月二十日(土)の夕方のことである。

玄関のドアを開けたまま床の掃除をしていたところ前庭越しの道路を歩いている男がこちらに向かって手をふりながら何かを云った。男は犬をつれているもうひとりの男と一緒だった。

庭仕事をしているときに散歩している人からハローだとか綺麗な花だねとか云われることがあるのだがどうもそういう外交辞令を言っているのではないようである。男が立ち止まっているので表に出て行き、何を云ってるのか聞こえなかったというと自分は子供のころこの家に住んでいたと云った。

この家は二十五年前に買ったのだが当時はトロント勤務だったので買ってすぐ貸家にだした。その時の借家人なのかと思い、それなら見せたいものがあるから家の中を見ていかないかというと、本当か、是非見せてほしいといって連れの男に済まないがしばらく待っててくれと云った。男はアランだと名乗った。

アランは玄関アプローチの一角を見てこれは自分の父が足したんだと云った。



直線のアプローチが玄関口へと折れていくのだが、そこに曲線のでっぱりをつけたのは遊びの精神があってそのままでも面白い。花が枯れる冬のあいだは鉢植えの木を置いたりしている。

アランは玄関に入るなり天井を指してこれも自分の父が作ったのだと云った。



天井のモウルディング(回り縁・まわりふち)のお蔭でフランク・ロイド・ライトの雰囲気があると気に入っているのだが、そしてそれは1955年あたりにこの家を建てたときに付けられたのだろうと思っていたのだが、そうではなく後から足したということらしい。

アランは暖炉をみて、こんな暖炉はもう珍しいんだ、これも父がやったんだと云った。



暖炉に使う道具(火挟みなど)にも見覚えがある様子だった。

ここが自分の部屋だった、隣が両親の部屋だったというアラン。



十年前にふたつの寝室の壁を取り外してひとつの部屋にしてある。

アランに見せたかったのは台所にある小さな棚である。



この棚の扉の裏にはクレヨンのいたづら描きがある。



見知らぬ子供たちの痕跡をペンキで塗りつぶすのが惜しくてそのままにしていたのだが、アランのいたづら描きもあるだろう、感激するだろうと思ったのだが案に相違してアランは自分が居たときは棚ではなかった、アイロン台の収納だったと云った。そういわれると二十五年前に買ったときはアイロン台の収納だったような気もする。

アランは二十五年前の借家人ではなかった。住んだのは三十五年前だという。

アラン一家はこの家に二度住んだという。

両親はこの家をおそらく最初の持ち主から買った(まだアランは生まれていなかった?)
父の仕事の関係でアルバータ州に引越した
やがて当地に戻りこの近くに居を構えた
親達は不動産業者にこの家が売りにでるようなことがあったら自分達に知らせるように頼んだ
やがてこの家が売りに出たので買って1976年まで住んだ

どうやらおのまは六代目のオーナーらしい

初代 ・・        1955〜
二代 アランの親
三代 ・・
四代 アランの親         〜1976
五代 ミセスクリーン   1976〜1986
六代 おのま        1986〜

ミセスクリーンというのはこの家が売りにでたときの広告に書いてあった文句である。隅々まで綺麗な家であった。

地下の機械室でアランは父からここで折檻されたものだと云った。



なんで怒られたのかと訊いたら靴をきちんと揃えなかったとかだという。じゃあさしづめドイツ系の一家かと云うとそのとおりだと云った。

地下室に来たときにアランの目に涙が浮かび、車庫の奥についている小さな物置をあけると、なつかしい匂いだといって感極まった。



表で待っていたアランの連れがやってくるとアランは車庫の入り口の雨樋を指してこれは父に怒られて腹がたったのでアイスホッケーのスティックでたたいてへこませたのだと云った。



アランのおかげで雨樋が(たぶん屋根も)少なくとも三十五年前のものだと分かった。

アランは家を見せてくれて本当にありがとうといって抱きついてきた。ムムム・・・アランの妹ならよかったのに・・・・

アランはここから数十キロ離れたサレーに住んでいる、連れの友だちがこの近くにいるので時々遊びに来る、父は85歳で健在の由。

アランは父の世代は自分でいろんなことをやっていたんだと云った。



翌、二十一日にふるい雨樋はすべて取り払われた。アランの傷つけたのをとっておけばよかったとあとになって思った。



いまは台所を改装する話を進めている。今ある設備や棚は全部なくなるがいたづら描きのある扉は捨てないでおこうと思う。

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