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林雨 第六十五回 敗戦風景

林雨 第六十五回 敗戦風景  小野冬生

 

3.11からそろそろ半年、日本人に落ち着きというか、開き直りの気分が生まれているような気がします。復旧は長丁場になり、原発事故の収束に至ってはことし生まれた子が筆者の年になっても終わっていないかもしれません。できないことはできない、あせりは無益と腹をくくりましょう。

  

 

 

とはいえ3.11の衝撃や焦燥感は続いていて、そのためか筆者は八月になっても広島、長崎、敗戦のことに思いが至りませんでした。記憶は刻一刻と薄れていくものとしても、第二次大戦への生々しい思いが2011年を境に質量ともにがくんと落ちたような気がします。日清戦争や日露戦争と同じ次元の歴史の一項目に変化し、この目で見た風景が消えていくような気がしてなりません。

この目で見たといっても筆者が生まれたのは戦争のまっただなかですから、記憶に残っている敗戦風景は断片的なものでしかありません。そんなものでも消えてしまうのは惜しいと思うのでこの場を借りて書き残すことにします。


満州で敗戦を迎えた筆者の一家(五人)は日本へ引き揚げるまで一年ほど足止めをくらいました。民間人にとって敗戦は突如であり多くの人が逃げおくれたのは今回の原発事故と似ています。真相を知っていた政官軍の家族はいち早く脱出しました。日本の中枢が庶民をないがしろにするという構造は今も昔も変わりません。否、政局で時間をつぶしている今のほうが悪質かもしれません。


我が家に数人のソ連兵がやってきて狼藉を働いたのが衝撃度ナンバーワンの敗戦風景です。笑いながら帰っていくソ連兵を蹴飛ばしていた幼児の自分を覚えています。そういうこともあってソ連に対する憎悪の念が長く続いたのですが、今は戦争とはそういうものだという割切りがあります。日本兵だって同じことをやったわけです。


筆者の父は寡黙で満州時代のことをあまり話さずに逝ったのですが、生前にこう言ったことがあります。「中国人は信用できる。朝鮮人は頭が良いがズルイから気をつけろ」。どういう理由でそういったかは訊きませんでしたが、外にでると迫害に会うので蟄居していた我が家に隣家の中国人が塀越しに食べ物を差し入れていた風景と重なって思い出されます。


父の言はそれとして、筆者は民族とか世代とかの差ではなく、個々人の差を見ることを心がけています。若い世代におかれては北東アジアの民族が干戈を交えないことを祈ります。


いよいよ日本へ帰ることとなり引き揚げ船に乗ったときの風景も鮮明に覚えています。暗い中、カッターボートから本船に乗り移るときに筆者を押しのけて網状のはしごを登っていった女性の尻を思い切りつねりました。驚いて振り返ったのを小気味よく思いながら知らん顔をしました。満員の船倉の通路にゴザが
敷かれたとたんに自分の場所を確保しようと我さきに飛び出していく大人たちはみっともないとも思いました。


大学受験に失敗して筆者は東京の予備校に通ったことがあります。教室が大きいのでなるべく前の席に座ろうと早起きして学校へ行き列に並んだのですが開門と同時に数人が階段を駆け上がり前の方の席に何冊ものノートを投げるようにして置いていったのには驚きました。人数の多い東京の有名高校の連中が順番でもって朝起きの代表を選び、代表が仲間のために席を確保するというあさましい姿でした。大学に入っても同じことをしていた連中の何人かは霞ヶ関官僚になり、退官してからは世の役に立たない法人で不労所得を食んでいます。


日本で勤務していた頃、最終電車で大船駅に着くとホーム、階段を駆けていくサラリーマンたちの群れに筆者は加わりませんでした。その替わりタクシー乗り場で一時間も待つことになりましたが。人を出し抜けば目先の得があるかもしれませんが大事なものを失っていくのは間違いありません。


覚えている敗戦風景は他にもありますが紙面が尽きました。


2011年8月18日(木) @北バンクーバー

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