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短所を直すか長所に頼るか   後編


数年前、金沢のホテルで指圧をしてもらったことがある。

右の背中からもみ始めた指圧師がおにいさんの体は若いねえと云った。おにいさんと呼ばれるような年ではないし、営業用の外交辞令だろうと思ったのだが左の背中に移るとそれまで饒舌だった指圧師は無口になった。

左はどうと訊いたら黙ってもみつづけ暫くしてから左は死んでると静かに云った。

左が良くないのは自覚していたのだが死んでるとはおおいに衝撃的で、なにやら自分が幽霊にでもなったような気がした。指圧師にとっては一見の客であるから外交辞令など必要もないのだろう。ということは右側は本当に若かったのであろう。


ここまで書いて思い出したことがある。大阪勤務時代に生まれて初めて背広をあつらえてもらったのだが、背中の左が異様に張っている、普通の背広だと皺がよってしまうと言われた。

今考えると若造の分際でぜいたくなことをしたものだと思うのだが、二年のあいだに三着つくってもらった。三着とも二十年以上、擦り切れるまで愛用した。そのうちの一着は麻であったのだが麻の背広はそれが始めにして終わりで、そのせいかどうか三日ほど前にその背広を着ている夢を見た。

日比谷のような町を歩いているのだが色彩が現実的でなく、パステル画に似たグラデーションがかかっているのでこれは夢の中だと分った。意識を強くすると町の細部、建物の中がよく見えてくる。

オフィスやレストランが多くて、なんだか単調すぎると思ったら今度はニューヨークのパンナムビルが見えてきたのでさらにしっかりみると、これはどうしたことか劣化が進んでいてもうすぐ廃墟になりそうな按配だ。

大きな通りを横切ったらそこから先は暗くて人の気配がなかった。しかたがないので色彩のある町にもどり、こんどは建物の中に入ってみた。ガラス戸の向こうにラウンジのようなものが見えたので進もうとしたら女性がでてきて本日は終了した、午前中しかやっていない、左にあるのは本屋だといい、腕をとって出口に導かれた。とられた腕を見たら昔持っていた麻の背広だった。


1970年当時は大阪にも柴田音吉洋服店があったが今は神戸だけのようである。

http://www.otokichi-kobe.co.jp/


若い右と死んでる左であればスキーを滑っていてバランスが悪いのは当然かもしれない。

谷側にある板が右から左に移るとき、すなわち時計回りのときに左板が遅れる。時間にしたら零コンマ何秒という短い時間だが、それがだんだん長くなっていき、リズムが乱れていく。

硬い雪の場合はまだしも、ブレーキがかかる柔らかい雪だと左の疲れは早くなり、そうこうするうちに板が雪にひっかかって転倒しそうになったりもする。

バランスを保つにはどうすれば良いか。左を右並の強さにきたえるのがよいのか。それとも左の弱さを右で補うようにするのが良いのか。「短所を直すか、長所に頼るか」と書いたのはそういうことである。

短所を直すというのは死んでる左半身を若くすること、すなわちリハビリである。しかしリハビリは一朝一夕ではできない。リハビリしないままで一生を終えるかもしれない。であれば長所、すなわち右半身に頼ってバランスを保つことになるのだが、はて具体的にどうすればよいかが分からない。


そういうことを二、三日考えていたのだが、ある日のこと片足の人が滑っているのをみて、あっと思った。彼は右脚だけで滑っている。左はない。それでもリズムよく、バランスよく滑っている。

そして気がついた。彼のポール(ストック)には板がついている。一本脚の補助として両腕を使っているのだ。いわば三輪車みたいなものである。

自分もポールを第三の板として使えば良い。足からくるバランスの乱れをポールで補う。左板の遅れにあわせて右板の走りにブレーキをかける。右のポールを使ってブレーキをかける。

このリクツ、中回りには効果があるような気がする。そのうち右のポールのリングが壊れるかもしれない。

中回り
http://www.youtube.com/watch?v=0wakk9WDdkU

短所を直すか長所に頼るか 前編
http://onomar.jugem.jp/?day=20110202


今はあることがきっかけで指圧なしですむ体に変わっているが、当時は存在していること自体がつらいと思うほど背中が重苦しかったから日本に行っている間はほぼ毎日指圧をしてもらった。

各地を転々と動くので行き当たりバッタリ、いろんな人にやってもらうのだが上手な指圧師のことは忘れない。

十五年ほど前になるが、国会議事堂付近にあるキャピトルホテル東急で頼んだ指圧師がとてもよかった。名前を訊いたらナンバー7で指名してくださいと云われた。

キャピトル東急の李白バー(リーポーバー)はライト設計の建物を使っていた頃の帝国ホテルのオールドインペリアルバーと同じくらい好きなバーだった。帝国ホテル新館にできたオールドインペリアルバーはざわざわと騒がしいバーに変わり足が遠のいた。李白バーは2010年に新装されたキャピトル東急に残らなかった。

もう指圧は要らないし、あのナンバー7もいないだろう。キャピトル東急に泊まりたいという気分もわいてこない。金沢の指圧師にはもういちどもんでもらいたい。いまでもおにいさん・・・と言うのだろうか。外交辞令でいいからおじいさんとはいわないで欲しい。

●パンナムビル 



今はメットライフビルになっている由だがこの写真ではうっすらとPANAMの字がみえる

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