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資料・長井明 バイオリニスト

「木霊の宿る町」に三十回ほど登場しているバイオリニスト・長井明さんのインタビュー記事が当地の新聞に載ったので転載します

世界中で名誉コンマスの称号をもらった日本人はひとりだけというのは知りませんでした。バンクーバーにはすごい日本人がいるのですねえ

世界でただひとりの日本人名誉コンマスが推奨する交響楽団、思い出の演奏が興味深いです。おのまが絶賛したコンセルトヘボーは入っておらず、あっと驚くクリーブランドが入っています 


http://www.v-shinpo.com/stay/10special.html

 

 

2010年10月14日 第42号 掲載


バンクーバー交響楽団終身名誉コンサートマスターかく語りき
〜33年を越えるキャリアを振り返って〜
長井明さんに聞く


奥様のせりさんと

9月に行われたさだまさしさんの札幌公演での共演

練習中、コンサートマスターとして指導を行う長井氏

アレクサンダー恵子さんと奥様のせりさんとのトリオの演奏

9月に日本で行われたコンサートの風景(アレクサンダー恵子さんと)

 

 バンクーバー交響楽団(VSO) のコンサートマスターとしての役割を、2010年6月で退いた長井明さん。海外でバイオリニストとして活躍する多くの日本人の中でも終身名誉コンサートマスターの名をもつ人は長井さんだけである。その大役を長年果たした長井さんに、9月から始まる日本での演奏会を控えた多忙な合間を縫って今までのキャリアを振り返り語ってもらった。

まずコンサートマスターとはオーケストラの中ではなくてはならないリーダー的存在。指揮者の意図する演奏を作り上げるために、団員を一つにまとめ上げていく大切な仕事である。楽団の仲間以上にリーダーとして目に見えない練習や努力がたくさんある、という長井さんはVSOのコンサートマスターとして1976年から就任した。日本においても東京交響楽団、読売日本交響楽団、札幌交響楽団、仙台フィルハーモニーなどで25年以上もゲストコンサートマスターとして活躍をし、日本のコンサートマスターと首席奏者を集めた日本ヴィルティオーゾ響でも現在活躍している。その長年の音楽人生を振り返り影響を受けた人物や思い出深い演奏会などについて聞いてみた。

音楽人生に影響を与えた人たち
 バイオリンの先生の一人であった江藤俊哉氏は私にとても影響を与えた人物です。また高校のときに日本で聴いたカラヤンが指揮するベルリン・フィルハーモニーの演奏に感銘を受けました。

 その後、私がモントリオール交響楽団にいた頃に指揮者のズービン・メーターと一緒に演奏ができたことはとても強い影響を受けています。彼とカナダの代表的なテナーのジョン・ビッカースによるワーグナーのトリスタンとヴェルディのオセロの演奏を通して彼らの音楽のつくり方、演奏の仕方をじかに経験できたことは一緒に演奏ができたというだけでなく、それ以上にとても重要な忘れることのできない経験になりました。

印象深い共演者について
 モントリオール交響楽団にいたときに共演したチェリスト、ロストロポヴィッチの大きな人間性に感動しました。チェロの演奏だけではなく普通のソリストからは感じられない大きな器をもった素晴らしい奏者でした。デビューしたばかりのヨーヨー・マがVSOと妙な切っ掛けで共演することになりました。最初は彼の師匠であるレナード・ローズに共演の依頼をしたわけですが、そのときローズは「弟子で素晴らしいプレイヤーがいるから」と辞退し、彼の代わりに出演したのがヨーヨー・マだったのです。とにかく彼が弾いたショスタコヴィッチの協奏曲の最初の一音からなんとも素晴らしかった。

 ロシアの女性バイオリニスト、ビクトリア・ムルバがチャイコフスキー国際コンクールで優勝したすぐ後に共演しました。彼女が奏でるショスタコヴィッチのバイオリン協奏曲は本当に音が美しく、音程が素晴らしい最も心に残る演奏の一つでした。もう一人、指揮者になる前のピカンス・ズッカーマンもスタイリッシュな素晴らしい演奏者でした。

長井さんにとって特別なオーケストラは?
 見本としてだけでなく、自身の理想とするイメージのモデルともなる交響楽団は4つあります。まずベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は音の美しさ、アンサンブルのよさは最高で、世界各国から優秀な奏者を集めた素晴らしい楽団です。次にウィーン・フィル管弦楽団はベルリン・フィルとは逆で、ウィーン出身のみの団員が集まっています。そのためかウィーンらしく、まろやかでとても温かみのある音は他にはない素晴らしい楽団です。

 アメリカのクリーブランド管弦楽団はとても技術的にもレベルが高く、またバランスがよいのが印象的です。ほとんどのオーケストラではどうしてもブラス(金管楽器)が強く聴こえてしまいがちですが、このオーケストラはすべての音がかき消されることなく全部聴こえてくる。前代未聞のバランスのよさがありました。そしてボストン交響楽団はダイナミックで音がとてもリッチで、すべてを持ち備えたよさがあります。

 これらの楽団は常に私の心と頭の中にあり、めざすところでもあったのです。

VSOでの想い出に残る演奏
 VSOのキャリアで印象深い演奏会は4つあります。25年以上前ですが、秋山和慶氏の指揮で演奏したストラビンスキーの『春の祭典』は秋山氏のよいところとVSOのよいところがうまく結集され、あのときの感動は忘れられません。また彼の指揮で、日本で演奏したブラームス交響曲第2番もVSOの名演でした。

 90年代のVSO音楽監督を務めていたコミシオーナの指揮で、自分がソロを弾いたシュへラザードとマーラーの交響曲第4番は味のある芸術的レベルの高い演奏でした。

 長井さんはコンサートマスターとして今までを振り返り、オーケストラをまとめて一緒に合奏するためのリーダーではあるが、ただ『合わせる』というだけではなく、音の美しさを求め、芸術性レベルの高さのみならず全員『心を一つにして』合奏できるようにと常に務めてきた、という。かくある通り、トップレベルの奏者が結集するオーケストラで、奏者一人一人の心を同じベクトルに向かって演奏をまとめ上げるというのは至難の業である。それだけでなく、演奏会から帰宅後も弓を合わせるボーイングの指示やスコアの勉強など私たちには想像もつかない多大なホームワークも仕事のひとつだそうだ。

 長井さんは、本能的に作曲家あるいは曲が求められる音や演奏スタイルがわかるという、その持って生まれた音楽的感性や本能的な能力を指揮者が認めてくれたのが、終身名誉コンサートマスターというポジションをもらえた理由ではないかと確信している。

 想像を絶する陰なる努力の日々を振り返って、驚いたことに「辛かったことは?」という質問に「思い当たりませんね」という返事が返ってきたのだ。まさに天職がコンサートマスターだったのだと改めて納得する。

 一線を退いたとはいえ、9月から長井さんは日本でパシフィック・ノース・トリオやLAでのコンサートでの共演をきっかけに10年以上の付き合いをしているさだまさしさんの札幌公演での友情出演、加えて日本ヴィルティオーゾ響との演奏などスケジュールがびっしりと詰まっている。また来年2月に新設するVSO音楽院やバンクーバー・ユース・オーケストラで新鋭を今後も指導し続けていくという。

 長井さんは「9月は新しい人生のキックオフ」とまだまだ続く終わりなき大切な音楽人生を確実に歩み続けている。

(取材 池側和子)

 

最後にVSOのPresident & CEOであるジェフ・アレクサンダー氏からのメッセージを。

 長井明氏はVSOで30年以上もの間とても愛されている大切なメンバーです。終身名誉コンサートマスターとして長年私たち組織にとってとても豊富な知識と暖かい助言によってサポートし続けていただき、オーケストラにとって最も重要なポジションで演奏を続けてくださいました。VSOのメンバー全員が長井氏に対して言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいであり、また彼の心優しい思いやりのあるリーダーシップ能力をいつも尊敬しております。30年以上もの間バンクーバーで、またカナダだけでなく世界中でこのオーケストラの何千回という演奏活動、数え切れないラジオ放送そしてグラミー賞受賞の功績などの成長を成し遂げるには彼の力がなくてはならない重要な要素でした。長井氏は素晴らしい同僚であり、今後も我々とともに活躍されることを望んでやみません。

ジェフ・アレクサンダー (President & CEO, Vancouver Symphony Society)

 

 

 

 

 

 

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世界中にいるおのまファンが私の事を読んで頂けるなんて、こんな仕合せはありません。おのまさん、ありがとうございます。私のこんな記事がおのまのブログに載る価値があるんだろうか?載せていただいた以上、これからも心を引き締めて精進する心構えです。よろしくご指導の程お願い申し上げます。
コンセルトへボーは私も好きなオーケストラの一つです。
ベルリン、ウィーンフィルがモデル・目標で、ヨーロッパのオケから二つ選びました。フィラデルフィアの昔の音は良かった。NYフィルも素晴らしいですが機密性、音の純粋さ、バランスに関してはクリーブランド響にはかないません。
クリーブランド響は昔George Szell と言う指揮者が徹底的に音程とバランスをトレーニングして米国No.1にアンサンブルの良いオーケストラに磨き上げられました。その時にコンサートマスターをしていたJosef Gingoldに私はインディアナ大学で指導を受けました。
ちなみにクリーブランド響はいまだにピッチ440でコンサートが始まり、440で終わります。一般のオケは440で始めても、緊張したり、楽器の温度が上がったりしてピッチは445ぐらいまで上がってしまいます。ピアノコンチェルトで使う会場のピアノは演奏中にピッチは上がったりしませんからね・・・・。Goerge Szellはピッチに関しては徹底的に訓練したわけですね。Herbert von Karajanは演奏するとピッチが上がると言うので、じゃ始めから443で始めよう!と考えた。しかしBerlin Philは今日443で始まり、445で終わります。日本のオケは今日443でチュウニングします。私はこちらで440−442に慣れされましたから日本のオケでゲストコンサートマスターする時に、いつもチュウニングには悩まされます。とんでもない話に行ってしまいました。続きはまたの機会に。ゴメンナサイ
| Akira Nagai | 2010/10/26 7:02 AM |










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