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林雨 第四十一回 国家考
林雨 第四十一回 「国家考」 小野冬生

http://www.japancanadajournal.com/


★大上段なタイトルで気が引けますがこういう見方もあるかと読み流した上でお考えくださると嬉しいです。

あらかじめ断っておきますが筆者はいわゆるノンポリ、是々非々で生きています。これまで特定の政治団体に属したとか支持する政党があったとかいう経験は一切ありません。

★1984年、西ベルリンから東ベルリンへ入る時にパスポートを調べる係官たちの表情を映画の一場面のように覚えています。

自由に思考することを禁じられるとこうなるのか、自由に思考しているがゆえにベルリンの壁という馬鹿げた現実の中にいることに対する絶望感を知ってそうなったのか。いずれにせよ生気のないことおびただしい暗くうつろな表情で、これを書いている今になってあれこそは奴隷の表情であったと気がつきました。国家の奴隷。

「ベルリンの壁はジンルイの愚かさの象徴だ」とハガキに書いてアメリカ人の友人に送ってから五年後に壁は壊され、そして二十年たちました。

「ベルリンの壁」は決して越えることのできない障害や永遠になくなることのない大きな障害のたとえになっていた時代があったのですが実際に存在したのは二十八年で、筆者がベルリンの壁を見てから今までの時間とほぼ同じ時間です。壁の内側で生きた人にとっては長い時間だったでしょうが永遠という時間からみたら一瞬の存在でした。

そういう一瞬の存在としてはやく崩れてほしいものが日本にあります。いうなれば日本におけるベルリンの壁です。

★佐藤優は「国家の実態とは官僚が社会から収奪して食っていく仕組みにほかならない」と喝破しています。
(佐藤優、桐野夏生対談 「見えない貧困がこの国を蝕む」文藝春秋2008年4月号)

筆者はこれを見た瞬間に感心しました。なんと鮮やかな国家観であるか!

しかし次の瞬間、筆者が四年間すごしたシンガポールはそういう国ではなかった、その一点をもって佐藤優のテーゼは誤っていると思い直しました。

公金を私することは特権だと密かにうそぶき、有効な仕事をともなわない「キャリヤパス」で履歴書を埋め、退官してからは大衆のくらしに役立たない特殊法人をワタリ歩いて羞じない人種で構成されている日本の官僚システムが日本社会からの収奪機構であるというのなら賛成します。

しかしそれはあくまでも「今の日本」という病的な現象を描いたものでしかありません。テーゼとして国家はそういうものであると言われたら受け入れるわけにいかないのはさきほどあげたシンガポールの例で充分です。足りなければノルウェイ、カナダなどもいれたら良いでしょう。

佐藤優が日本国家の実態とは官僚が社会から収奪して食っていく仕組みにほかならない」というのであればうなずきますが、これが国家であると言われてハイそうですか、恐れいりやしたというわけにはいかないのです。

社会から収奪して食っていく日本の官僚システムは日本におけるベルリンの壁であると知って、壁を崩すことが日本の大衆を奴隷にも似た閉塞感、絶望感から解き放つために必要であるし、そうなるであろうと筆者は断じます。

★以上総論じみたことを書いたのは実は佐藤優が発端になったからではありません。最近おきた事件を見て一体どうしてこんなことが日本で起きるのかと考えたのが発端です。

外務省機密費問題、ブッシュ戦争支持、社会保険庁問題、かんぽの宿、などなど日本の官僚+政治家による犯罪行為の総括が一向になされないところにもってきて今度は西松建設の献金問題が脚光を浴びました。

西松建設からの献金先は尾身幸次(二千八十万円)、加藤紘一(千四百万円)、藤井孝男(六百万円)、森喜朗(五百万円)、山口俊一(二百万円)、小沢一郎(三千百万円)、山岡賢次(二百万円)だという報道があります。

その報道の真偽、献金が違法か違法でないか、違法だとしてどう処理するかなどについてはあまり関心がありません。筆者がショックを受けたのは漆間巌官房副長官発言でした。

三月九日の漆間発言趣旨(共同通信):
1) この種の事件は違法性の立証は難しい
(2) 金額の多寡は違法性の認識を立証する上で大きな要素
(3) 検察は本人(小沢一郎)が否認しても起訴できるだけの証拠を持っている
(4) (自民党議員に対する献金の)請求書があっても傍証の一つにはなるが、立件するのは難しい


かみくだいていえば「小沢については金額が高いし検察は証拠を持っているから起訴できる。森については金額が低いし請求書があっても立件できない」というようなことです。同じことをやっても片方は罰するがもう一方は罰しない。ダブルスタンダードといいます。

★ふたたび総論じみた話をします。

日本は法治国家です。

法治国家とは何かというと、国家機関の何人(なんぴと)かに、たとえば役人とか政治家とか天皇とかに絶対性があるということではなく法律に絶対性があるということです。

すなわち日本という国家は国民の代表者から成る国会でつくる法律が唯一の絶対者であるということです。その絶対者の元で日本国民は等しく生きる、絶対者に等しく従う、絶対者に逆らう国民は等しく罰するというのが法治国家・日本なのです。

違反行為をした民主党員は罰するが違法行為をした自民党員は罰しないというダブルスタンダードとは法治国家・日本を真向うから否定する大胆不適な犯罪行為なのです。

★筆者がトロントで銀行の社長をしていたときにはどんなに仕事ができない部下でもクビを切ったりほかに転勤させたりしないということをモットーにしていました。さいわいそういうことは起きませんでしたが犯罪行為があったら別です。

合併をして余剰人員がワンサと増えたときも本社とかけあって解雇しませんでした。それでもって業績は悪化しましたがそれは会社限りのことであって失業者を生まなかったということで社会に対しては貢献したと思っています。

しかし国の内閣と一銀行とは大きく違います。

銀行の場合は業績が悪くても社会に大きな影響はでませんが国の場合は国全体に影響が及びます。仕事のできる官僚がいないという泣き言は別にして、日本のベスト&ブライテストを集めて内閣を構成しないと日本全体が悪くなっていくのです。

ましてやダブルスタンダードの官僚が内閣にいたら効率が悪くなるし、第一国民からの信頼を失います。

麻生太郎首相は自身がよくぶれるからダブルスタンダードの弊に対する感度が鈍いのかもしれませんが総理大臣がいちばん頼りにする内閣官房に不適格な人物がいるのであれば即クビを切るべきなのです。それをしない政治家は官僚からありがたがられることがあっても尊敬の対象にはならないのは自明です。

日本国家の根っ子を腐らせるダブルスタンダードを許す内閣はどのような美辞麗句でもって国の運営をしようとしてもうまくいくはずがありません。国家に対する犯罪者を内閣の中に温存するのはかつて二・二六事件、五・一五事件における不届き者を許したことに似ていずれ日本に大きな禍をもたらすことになる愚かな所業なのです。

★佐藤優からの引用は後味の悪いものでしたが多少味の良い話を引用して終わりにします。

兵隊の中には学者がいるものでございます、どんな岩にも理(すじ)というものがある。大理の理、そいつをさがしだして、その理に沿ってノミを叩きつづけてゆくといつかは大割れに割れるものだ、そういうことを申すものですから、みなでそのとおりに致しますと、本当に割れました、そういう理(り)でもってシベリアの岩をずいぶん割って参りましたといった。

「その学者は、前職は何でしたか」
「飾り職人でございました」

理とはこの飾り職がいうような意味をもっている。理のツクリの里の音は「離析(りせき)」(はなれる)をあらわし、これに玉ヘンをつけて理になると「玉のさけ目、筋模様」をあらわす文字になる、という。中国のむかし、細工人が玉器を作る場合、玉のさけ目やスジ模様 ― 理 ― に従って細工をしたというのである。飾り職人のいうところは、まさに理にかなったことだった。


(司馬遼太郎「昭和史の中の魔物」1988年)

日本のベルリンの壁もそこにある理に従えば崩すことができるということを前提にして日本の国家観を考えてみたら良いと考えます。佐藤優のように国家を絶対視するのではなく、相対的に視て、考えて、行動すればこの国に生まれて本当に良かったという日本を創ることができるだろうと思います。  

2009年4月1日 @北バンクーバー


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| おのまのプロフィール | 政治経済 林雨編 2 | 10:52 | comments(2) | trackbacks(2) |
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 眠れぬ夜を過ごしました。
 夜中からネット三昧。まぁ、金曜日だし。

 賛同いたします。
 シンガポールはそういう国では無かったのですか。すごいですね。日本だけが特殊なのでしょうか?まぁ汚職腐敗は他の国にもあるでしょうが、今の高級官僚の税金食い荒らしシステムは明治以来の日本の官僚機構の結果かも知れません。
| 眠り猫 | 2009/04/03 6:06 AM |

「理」の成り立ち。面白いですね。

今の政官業の理にノミを当てるには、とりあえず政権交代しかないと思っています。

それにしても漆間官房副長官。怪しい男です。
それを登用した麻生はもっと怪しい。(笑)
| 直樹 | 2009/04/04 5:53 PM |










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解散コールしない、マスコミの怪
 検察は、まるで権力の手先になったようである。  麻生自公党政権を脅かす野党の小
| ジョディーは友達 | 2009/04/03 11:00 AM |
言論人の知力
あれだけ小沢代表辞任を叫んでいたマスコミも、さすがに飽きたのだろうか、あまり騒が
| 棒に怒る日本人 | 2009/04/03 9:11 PM |
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