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林雨 第三十五回  でっち上げ
林雨 第三十五回  でっち上げ  小野冬生

http://www.japancanadajournal.com/


今場所の大相撲番付表には空位がみっつあります。幕内にふたつ、十両にひとつ。前代未聞の番付表はオタカラ。日本におられるかたは手にいれておいたらいいでしょう。

周知のとおり空位ができたのは大麻を吸っていたという理由で三力士が解雇になったからですが、これに疑問を抱いた人がたくさんいると思います。

一人は現物を所持していたし自白もしたから間違いなく黒ですが、残りのふたりは尿検査で大麻の成分が検出されただけで現物は持っていませんでした。ふたりは無実である、再検査してほしいと主張しましたが入れられず解雇されました。

ハードエビデンスはない、被疑者の主張を無視、再検査せず、でもって解雇という経緯を見て二力士は冤罪の被害者ではなかろうかという疑問が生じます。少しでも法律を勉強した方ならin dubio pro reo(疑わしきは罰せず)に反すると思われたことでしょう。

冤罪・えんざい:無実の罪、ぬれぎぬ(広辞苑)

冤:兎(うさぎ)の会意文字。兎のかこいの下にありて、走るを得ず、屈折することなり。無理におしこめること(学研・漢和大辞典)

すべてではありませんが、冤罪には積極的な悪意をもって作られるものが少なくありません。政治的意図からある人を犯人に仕立て上げてしまう。いわゆる「でっち上げ」です。

でっち上げの被害者といえば佐藤優氏と鈴木宗男氏。

2005年、文藝春秋六月号で「起訴休職外務事務官」という聞いたことの無い肩書きを使った人の論文を読んで感心したのがきっかけで、佐藤優なる外交官の著書をすべて読み、雑誌、新聞での発言の多くを日本にいる友人から送ってもらうこと三年。

佐藤優氏が初めて書いた本「国家の罠」を一読して唖然、暗然、呆然、憮然。同氏は512日のながきにわたって拘留されますが、その原因が外務省のでっち上げであったことが明らかにされています。

日本の外務省とは、また検察庁とはかくもオツル組織であるのか、呑気なことをしておられないという気持ちが昂じてノンポリの筆者が、そして外務官僚、検察官僚になった学生仲間がいる筆者が色々調べ、発言するようになっていった次第です。

「国家の罠」を読んでいるあいだは怒りで体がわなわなと震え、佐藤氏の無念に涙が浮かびましたが、反面おやっと思いました。読んでいる当方が激情にかられているのに、佐藤氏は怒りや怨みを書いておらず冷静です。

冷静というのではなく神経が麻痺しているのじやないだろうか。長期にわたる拘留で精神が崩壊したのであろうか。それともノンキャリと言われる官僚はキャリヤ官僚に対してそもそも無抵抗、無気力なのだろうかと痛ましくもなりました。

たとえばこういうくだりがあります

「国策捜査が行われる場合には、その歴史的必然性があります。当事者である検察官も被告人もその歴史的必然性にはなかなか気づかずに、歴史の駒としての役割を果たしているのでしょう」

君い、歴史的必然性と洒落るのはいいけどでっち上げを正当化するようなことは書くなよ。悲劇の主人公として同情を買うつもりはないという矜持があって他人事のように冷静を装うのは一向に構わないが不正を見過ごす日本であると決め付けてくれるなよ、です。

当時の佐藤氏は無名に近かったので筆者は色々な人に「国家の罠」を買うように勧めたり本を貸したりしたものです。進呈したこともあります。外務省では読むなという緘口令がしかれたそうですが、筆者の努力があって佐藤氏はひろく読まれるようになりました。半分冗談ですが。

佐藤氏は次々と本をだし、いまや日本の言論界のなかで無視できない存在となり、佐藤氏を気の毒に思うシンパが増え、並みのキャリヤ外交官では太刀打ちできないパワーを持つようになりました。こうなると強いですね。遠慮など無用。

佐藤氏は一年ちょっと前から「文藝春秋」で「インテリジェンス交渉術」という連載を書いています。大使OBによくある能天気な回顧録や我田引水ナルシスト的自慢話などと違って第一線での切った張ったが詳細かつ良く整理されて書かれています。連載が終わったら単行本になり、貴重な歴史資料として残るでしょう。

貴重な歴史資料ですが、ところどころに佐藤氏の怒り、怨みが出てきます。「国家の罠」で抑えていた怒り、怨みの思いが徐々に解放され、そしてこのごろは一気に噴出しているがごとく外務省高官の破廉恥ぶりを書いています。このコラムを読んでいるかもしれない某大使は銀座での飲み食いを新聞記者にたかっていた、某課長は芸者にオムツプレイをせがんだ、政治家にウソつくなと怒鳴られてアルマジロのように丸くなった某氏などという話が実名ででてきます。オムツプレイって何ですかね。

佐藤氏が残した貴重な歴史資料を未来の歴史学者が読んでいてそういうところが出てくると息抜きになって面白がるでしょうね。うちの先祖にはそんな破廉恥なのがいたのかと嘆いている人の顔などは想像するだけで面白いです。

まあ、そうやってうっぷんを晴らせるようになった佐藤氏は安全ですが、晴らせないままどこかに見えなくなってしまうとすれば二力士は危険です。

冤:怨(押さえ込まれた心→うらみ)と最も縁が近い(学研・漢和大辞典)ともあります。

ふたりに生じた怨みの念が見えないところで沈殿し、日本人、日本に対する嫌悪感が増殖し、ある日とんでもないところでしっぺ返しを食らうような気がします。

法のもとにおける秩序とか平等とか正義とかいうものとおよそ逆のところにあるでっちあげを許していると世の中はくらくなります。

この十年で日本は閉塞した国になったと言われますが、閉塞などという生易しいものではなく「くらい国」「暗黒社会」と言ったほうが実情を表していると思いませんか。不祥事が多すぎると思いませんか。始めのころはエーッと驚いていたけれど近頃はマタカヨと慣れっこになっていませんか。こういう状況をつくった遠因のひとつが大小さまざまのでっち上げであるような気がしてならないのです。

2008・09・15 @ 北バンクーバー

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| おのまのプロフィール | 政治経済 林雨編 2 | 11:42 | comments(2) | trackbacks(0) |
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 世に陰謀や策謀、悪意は満ちているとは思いますが、今回の角界の件に限っては、陰謀は私にはわかりません。利益を得る人がいるのかわからない。
 まぁ、狭い伝統的社会の中での暗闘があるのかもしれませんが。
 ただ、角界は、国技と名乗るには、運営があまりにもお粗末。やっぱり外からの人材流入が必要でしょうね。

 佐藤氏にしろ、天木直人氏にしろ、外務省は伏魔殿のようで、異分子を排除するのですね。思考はすべてアメリカに任せきりで、あとは予算を無駄遣いし放題でしょうか。
 以前、ノーパンしゃぶしゃぶの話題が出たとき、あるノンキャリアの課長が、供述で、誘われたとき「あぁ、私のやっとあそこに誘われるところまで来たのだな」と感動したというのを聞いて、普通の人間の神経ではないなと思いました。
| 眠り猫 | 2008/09/17 6:50 AM |

角界の事情は知りませんが、断罪にいたるまでのプロセスが粗いですね。かつて佐藤優、鈴木宗男をバッシングしたときと同じです。
| おのま | 2008/09/17 7:03 AM |










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