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犯罪行為はあっても犯罪者はいないの怪?
本日は総論と各論に分けて書きます。ちなみに筆者は元銀行員です:


総論

1998 年に日本長期信用銀行という銀行がつぶれた

当時の頭取らが粉飾決算の責任を問われ、一、二審で有罪の判決が下されていたのだが、この七月十八日に最高裁(中川了滋裁判長)が無罪にしたという

馬鹿なとは思ったが、日本の司法機関、検察機関の根っこが腐敗していることを知っているから驚きはしない。しかし、この判決を善しとする新聞や評論家が結構いるということには驚いている。日本人は本当に馬鹿なのかもしれない

粉飾決算は経済犯罪であり、無罪になるリクツは決してみつからない。かのホリエモンも獄につながれている

「当時は会計基準整備が周知徹底してなかったから起きた事件であり責を問うのは酷である」という論はシロートのヘリクツである。アメリカやカナダのバンカーたちと同じく、おのまをふくめた日本の銀行員も何が不良資産で、なにが粉飾かということ位は知っていた

「粉飾決算を黙認していた大蔵省の行政責任ではないか」という論も馬鹿げている。本当にそう思うのなら大蔵省を法廷に訴えたらいい

粉飾決算は犯罪行為である。犯罪行為はあるが犯罪者はいないなどというのは理にあわない

理にあわないことを理であると曲げるのは病を隠して健康体だと信じる妄想に似ている。のちになって大きな苦しみがやってくる


各論

長銀は大企業の資金調達が間接金融から直接金融へシフトするという流れについていけず衰退していった。時代に即した経営戦略が無かったのである

1971年から89年まで頭取・会長を務めた杉浦敏介(故人)は新興企業への融資にシフトした

1985年から杉浦と後任頭取・堀江鉄弥時代に長銀は「イ・アイ・イ・インターナショナル」グループ(高橋治則)への融資で貸し金を増やしていった

ヤメ検弁護士、田中森一の著書「反転ー闇世界の守護神と呼ばれて」 392頁に「新規融資の分を振り込んでおきました。自由に使ってください」と長銀の担当者から電話がかかってきて「使い道に困る」と高橋がこぼしていたとある

イ・アイ・イは長銀からの融資で国内外のホテルやゴルフ場などの買収を繰り広げ、総資産が1兆円にのぼった

資金が要らない先へ無理やり貸し込んで業績を膨らませるというのは銀行経営では禁じ手である 

1995年、長銀の破綻が避けられなくなると高橋はスケープゴートに祭り上げられ背任罪で逮捕された

堀江頭取は「イ・アイ・イ」への管理責任を追及されたが辞任にとどまった。杉浦も堀江も巨額の退職金を手にしたといわれた

堀江のあとを継いだ大野木克信を九回裏のリリーフピッチャーにたとえるのは幼稚である

大野木も長銀の経営陣のひとりとしてゲームに加わっていた。野球のピッチャーのようにベンチで何もしていないで待っている銀行員なんてひとりもいない

97年7月、大野木とスイス銀行の幹部は資本提携を発表した

赤字決算ではスイス銀行からの2000億円の資金調達が困難になるために大野木は粉飾決算を指示した

粉飾の手口ふたつ:

 ̄J
銀行は関連会社と称するペーパーカンパニーに不良債権を「飛ばし」て不良債権をかくした


銀行の「積極支援先」であれば倒産はないという嘘をついて不良債権を「破綻懸念先扱い」にしなかった

98年6月に金融監督庁が新設され、翌年には「積極支援先でも破綻の可能性が大きければ、破綻懸念扱いとする」ということが明記された

急にそんなことをルール化したのがいけなかったという論があるが嘘っぱちである

取引先の財務内容を知ることは銀行員の基本業務である。何のために知るかと問うもむなしい。破綻懸念のある先に一兆円も貸すのは背任行為である。金融庁が明記したルールは銀行員でなくてもわかるジョーシキである

98年10月金融再生法により長銀は国有化され、約八兆円の公的資金が投入された。チョー巨額な国富の移転である

2000年3月、長銀を外資系投資ファンド「リップルウッド」らに10億円で委譲した。八兆円の国富が十億円。異常な委譲

リップルウッドは1200億円を投入して新生銀行として2004年2月19日に上場して2200億円を稼いだ

長銀のみでなく、多くの銀行が土地などの資産がいずれ上がるという、クロートのビジネスマンなら決して抱かないはかない期待にすがって不良債権処理を先送りした

銀行救済のために日本の国富が使われ、銀行が利益を生みそのままになっている。国富の異常なる分配をもとにした利益を国民に還元しないままにしている。ニンゲンの体にたとえれば体のすみずみまでいきわたるべき血が滞っている。体のいろいろな部位が壊死していく。貧困層が増加していく

「問題先送り」を政官民でやっている国は潰れる。粉飾決算という犯罪行為が存在したことがなかったことにしようとする国に明るい未来はない

ちなみに、高橋治則は2006年7月逝去。享年59歳。死因はくも膜下出血。高橋が絶頂期のときに親交があった有名人:中西啓介、小沢一郎、山口敏夫、安倍晋太郎、安倍晋三、中島義雄、田谷廣明。バブルをともに謳歌した高橋の盟友たちのほとんどが通夜に姿をみせなかったと田中森一は書いている

http://blog.with2.net/link.php?310164

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毎日新聞社説:

長銀無罪判決 行政の責任はどうなったのか

 元頭取らは逆転無罪を勝ち取った。では、「健全経営」だったはずの大銀行が、あっという間に「破綻(はたん)」となった最大の責任は、誰にあったのだろう。

 日本長期信用銀行(現新生銀行)の粉飾決算事件で、最高裁は1、2審の有罪判決を破棄し、大野木克信元頭取ら3人の刑事責任は問えないとの判決を下した。「大手行はつぶさない」を大原則とした大蔵省の裁量行政から、「金融機関の自己責任」を重視した新しい金融行政への転換がまだ過渡期で混乱していた中での決算処理だった。明確なルールも破綻の処理策もなかった当時の状況を考慮した最高裁は、長銀の決算を違法とするのは「著しく正義に反する」と結論付けた。極めて妥当な判断である。

 最大の焦点は、97年3月に当時の大蔵省が出した資産査定通達だった。各銀行に貸出先の健全性などに応じて債権を分類させ、分類ごとに将来の損失に備える引き当てを促すものだった。この通達が、当時、唯一の公正な会計基準だったか否かが争われた。

 粉飾が指摘された長銀の98年3月期決算は、この通達後、最初の決算だった。しかし、自己査定による債権分類は、同じ貸出先であっても銀行間で違いが生じうるものだ。制度導入直後ならなおさらだった。会計処理を巡る見解は統一されておらず、最高裁は、問題視された関連ノンバンクの不良債権処理についても、当時は一般的だったと指摘し、違法性を否定した。

 もちろん長銀の不良債権処理に甘さはあった。だが「日本発の金融恐慌は起こさせない」という政治や行政の号令のもとで、不良債権は各行の体力に応じて処理していけばよいとの認識がまだ一般的だったころだ。大手各行への公的資金投入を決めた審査委員会で長銀の経営健全性が問われた際、当時の蔵相と日銀総裁は「債務超過ではなく、不良債権は今後の収益で十分対応可能」と答えていた。破綻銀行の国有化などを定めた金融再生法もまだ存在しなかった。

 長銀の元経営者に、バブル期の乱脈融資で不良債権の山を築き、その処理を遅らせた責任は当然ある。だが、「護送船団式」の保護行政により、長きにわたって銀行の甘い自己管理を許してきた行政と、行政任せにしてきた政治の責任こそ、最も問われるべきだ。

 長銀は、破綻銀行の経営陣に対する刑事、民事両面からの責任追及を求めた金融再生法の適用第1号だった。巨額の公的資金を投入する以上、誰かを罰しなければならないといった空気はあっただろう。しかし、元頭取ら3人の責任に焦点が当たる中、解明すべき行政責任はあいまいなまま放置された。逆転無罪の判決と10年の歳月が、あの破綻は何だったのだろう、ともう一度問いかけている。


| おのまのプロフィール | 政治経済 | 02:26 | comments(2) | trackbacks(1) |
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この事件のこの最高裁の結果………「なんでやねん!?」―と感覚で思っても、何が如何「なんでやねん!?」―なのかは説明も出来ず、結果がこれでもあまりニュースでツッコミや批判がないから、「そういうものなのか」―と納得するしかないと思っていましたが、やはり「なんでやねん!?」―だったのですね。
| 美樹 | 2008/07/21 10:50 AM |

ほかにも粉飾決算をしたけれど表ざたにはならなかった銀行があり、長銀の経営者だけを罰するのは片手落ちであるというリクツを押さえ込むには良い判決であるといえます(笑)

粉飾決算おとがめなしということなので日本の会社の株は危なくて買えません
| おのま | 2008/07/22 12:47 AM |










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