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六月二十三日の朝


二十三日(土) 朝 十時。 薄ら寒い。

裏庭をざっと見てからブルバードの手入れをしようと思って表にでると雨がポツリポツリと落ちてきたが顔にあたったのはほんの二、三滴だった。降り止んだのではないが、それ以上はあたらない。

後ろから鈴の音がやってきた。ナジーが私の右足にさわって通り抜けた。ナジーと呼ぶと戻ってきて一メートルほどのところで数回ひっくりかえったあと急ぎ足でアブドラ家へ消えた。

ナジーのあしどりは一段としっかりしていてなにやら自信に満ちている。まだら模様ではじめはどうかと思ったがあれで案外もててるのかもしれない。しなやかに動く小さい体にさわるとゲンキーにはないしっかりした弾力が跳ね返ってきて私が♂猫だったら手篭めにしたくなるにちがいないと思う。ふにゃー

後ろ脚の動きをみるとバランスが良いのが分る。やっぱりゲンキーの左の後ろ脚はすこし歪んでいる。我が家に来て間もない頃、キャッキーの姿をみて屋根から飛び降りたせいだろう。

アブドラ宅から女性がでてきた。ひとりぐらしになったサベトさんを見舞いにくる子供のひとりだ。夏だと言うのに寒いわねと空をみあげた。父はまだ亡くなった母を恋しがっていると言った。

裏庭からブルバードに移植した花が咲き始めている。マンネングサをはぎとって入れた土が黒すぎてコントラストがきついので砂を入れる。マンネングサの黄色、砂の灰色、そして赤、黄、青、紫の花の色、葉の様々な緑とがあわさってルバードにおもしろみがでてきた。

「去年よりずっと奇麗なブルバード」は遠くから見て全体的に奇麗にみえるブルバードではなく、散歩している人が近くによっておやこんな花もあると覗き込んでくれることを狙っている。

老人が歩いてくる。誰かと思ったら三軒先のジョージ・アダムスだった。いつだったかブルバードを手入れしていたら「ウエルカム・バック・ホーム」と云ったジョージだ。いつもジェシーをかかえこむようにして歩いているのに今日はひとりなものだから目の前にくるまで分らなかった。

「今日は奥さんと一緒じゃないね」
「雨が降っている」
「おお それでなの・・」

ジェシーの頼りなさそうな表情を思い浮かべた。たいした雨じゃないのに家に閉じこもっているのか。

ジョージが通りすぎようとしてこちらを振り返った。

「いま私の妻のことを言ったのか」
「そう」
「妻は亡くなった」
「知らなかった。いつ」
「三月八日」

この冬、私は書斎にいることが多かった。書斎は裏庭に面しているから通りはみえない。通りにでるのはスキーに行く時くらいで、それもすぐ車に乗ってしまうから、やはり表になかなか出てこない近所のひとと会うことも少ない。

三月下旬は日本から子供たちがやってきてあわただしかったし、四月、五月の何日かは家を留守にした。六月も数日家をあけた。そんなこんなでジョージと会うのは去年の秋以来だろう。

「病気だったの?」
「ナントカカントカ、チンプンカンプン」
「分らない、それ」
「アルツハイマー」
「痛みはなかったんだね・・」
「数年間苦しんだ。最後は歩けなくなって入院した」

ジョージは耳が遠くなったようだし、私の英語もわかりにくいのだろう。ほんの少しずつかみあわない。ジェシーがアルツだろうというのはうすうす感じていた。

「じゃあひとり住まいだね」
「そう」
「淋しくないか」
「ない。子供たちがときどきやってくる」
「ひとりで散歩してるんだ」
「歩ける間はあるく。歩けなくなると人に迷惑をかける」

クリント・イーストウッドを少し穏やかにしたような顔のジョージ・アダムスがきっぱり云った。このへんの矜持(きょうじ)は亡くなったジェイ・モートンのそれに似ている。それにしてもジェイといいサベトさんといい奥さんに先立たれるのが結構いるものだ。

砂を撒き終わるころアブドラ宅に薄青色の車が着いてサベトさんの息子さんがでてきた。これを食べないかといってリンゴのつぶれたような果物をくれた。イランの果物かと訊くとそうだ、二週間しか出回らない、名前はしらないと言った。 (あとでドーナツ・ピーチと知った)

電信柱のうえからカナカナゼミに似た鳴き声が聞こえてきた。森のなかからも同じような声がして、二羽で掛け合いをやっている。

図鑑をみる。キツツキの仲間、ノーザン・フリッカー。ロッキー山脈より太平洋側のは赤い筋が入っていて、大西洋側のは黄色い筋がある。クチバシに「ひげ」があるのは♂

交互に鳴いているのはチャットではなく自分のテリトリーに入るなよという警告らしい。

ついでに探したら、このまえゲンキーがしとめたのはフィンチの一種、パイン・シスキンのようだ。




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このブログのカテゴリーに「鳥」を追加しました。
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鳥の項目ができて、嬉しいです。(*^。^*)
ヒワ類ですね。
この辺ではカワラヒワが春になると
グィーン、グィーンと歌っています。
引越し荷物からまだ図鑑が出てきてないので
カナダのヒワ類とどう違うんだろう
と調べようと思いましたが
今度の楽しみにとっておきます。
日本でもヒワ類は郊外でしたらよく見かける鳥ですね。
| ちぎ | 2007/06/25 9:13 AM |

シスキン(ヒワ)はひとなつこいらしくエサを置くとすぐやってきます。

地下室前にしつらえた地上五十センチの餌台が空になると催促するかのように台をつついて窓ガラス越しにこちらをながめたりします。
| おのま | 2007/06/25 10:10 AM |

わぁ!賢いですねぇ!
ロッキーのカラ類が人懐こいのにびっくりしましたが
バンクーバーの小鳥さんも人懐こいのですね(*^。^*)
| ちぎ | 2007/06/25 8:46 PM |

バルコニーの椅子に座っていて五十センチまで近寄ってくるのはジェイだけです。

当方をみてシスキンが逃げないのは双方のあいだににガラスがあるときだけで私がバルコニーにでると寄ってきません・・さいごの一線は越さないヒワ かわいくない w
| おのま | 2007/06/26 11:01 AM |

わわ!ではロッキーで
直接、私のかぶりついているサンドイッチから
パンクズをつついた
マウンテンチギディー(山小ガラ)は
ロッキーならではの人懐こさだったのかもしれませんね!
それとも子育て中だったから
親の決死の覚悟の技だったのかも。
ブルージェイを見たかったんですけど
見られませんでした。(>_<)
| ちぎ | 2007/06/26 8:18 PM |

コメントで思い出した昨年二月の日記を「鳥」カテゴリーに移しました。
| おのま | 2007/06/27 12:54 AM |










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